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フセハジメマシタ。

布施というと、お坊さんに読経をしてもらったお礼に包むお金と思われる方も多いだろうか。

布施とは?

「布(広く隅々までいきわたるの意)」「施(ほどこし)」つまり色々な物や人々に施しをする事をいう。

物質財産を施す「財施」、仏様の教えを説いて心の安らぎを与える「法施」、恐怖や不安等を取り除き、安心させる

「無畏施」等様々なものがある。

では、どんな心で実践するのがいいのだろうか?

高名な教育者、※新渡戸稲造(1862-1933)について、こんな逸話がある。※前の五千円札の方です!

新渡戸氏は、ドイツに留学中、ある公園に散歩をするのを日課としていた。

その公園には、牛がいて新鮮なミルクが売られ、木が茂る憩いの場所であった。

ある日、氏がいつものように公園を散歩していると、カトリックのシスターが大勢のこども達を歩いて連れているの

が見えた。身寄りがなく修道院で育てているこども達だ。

ちょうどその日は、氏の母の命日であった。

氏は、遠い日本のお墓に眠る母親へのお供えの代わりにと思ったのか、ミルク店の店長にお願いをした。

「あのこども達に、ミルクを一杯ずつ贈って下さい。勘定は私がします。しかしくれぐれも私からだとは告げない

で欲しいのです。」

店主がこども達にミルクを渡すと、皆飛び跳ねて喜び、おいしそうに牛乳を飲んだ。

シスターは、こども達にこう言った。

「私達に施しを下さった方がどなたか分かりません。ですが、感謝の気持ちを伝える為に讃美歌を歌いましょう!」

公園内に、こども達の歌声が響く。

この歌声を聞いた、新渡戸氏やまわりの人達は幸せな気持ちになった。氏はこの讃美歌が、亡き母への尊い贈り物に

もなったと思ったのだった。

その後、新渡戸氏は勘定を済ませようとミルク店に向かった。

すると店主は、こう言ったのだ。

「ミルク代は半分で結構です。これまで、こども達に何かしたいと思っていましたが、なかなか行動出来ませんでし

た。しかしあなたのおかげで私も、こども達に贈り物が出来ました。今日はありがとうございました。」

新渡戸氏は、見返りを求めずに、純粋に喜んでもらおう、相手にとって良いだろうと思った事を実践した。結果的

に、こども達が大変喜び、ミルク店の店主も、一歩を踏み出せた。さらに、こども達の讃美歌で多くの人が喜び、氏

にとって亡き母の尊い供養にもなった。

これこそ「布施」。

誰かの幸せの為に、行動する。

結果的に、自分も幸せになる。

ここで大切な心構えは・・・新渡戸氏がそうであったように、見返り、自分の幸せを先に考えないことなのだ。

この時期「お中元のお返しがウチのよりちょっと・・・」「御礼の連絡がないわね!」言ってませんか?

普段の生活生活でも、出来る事は色々ある。

電車の席を譲ったり、外国人の方で道に迷っているであろう方に声をかけたり、倒れている自転車を直したり。

更には、笑顔で接する事や、やさしい言葉遣い、やさしい心遣い等、これも立派な「布施」なのだ。

布施はじめてみませんか?

合掌

 

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